相続財産の調査方法|預金・不動産・株式を確認する手順

相続

大切な家族が亡くなった後、相続手続きを始めようとして、多くの人が最初に困るのが「何が相続財産なのか分からない」という問題です。

預金通帳は見つかった。
しかし、他の銀行にも口座があるかもしれない。

自宅は分かる。
しかし、亡くなった親が遠方に土地を持っていた可能性もある。

株式や投資信託をしていた話は聞いていた。
しかし、どこの証券会社を使っていたのか分からない。

相続では、財産を正確に把握しないまま遺産分割を進めると、後から新しい財産が見つかることがあります。

今回は、相続財産の調査方法について、預金・不動産・株式を中心に、できるだけ分かりやすく整理します。

【相談内容】父の財産がどこにあるのか分かりません

70代の母親から、次のような相談がありました。

「夫が亡くなりました。自宅の通帳は見つかりましたが、それ以外の財産があるのか分かりません」

「昔、株を買っていたような話も聞いたことがあります。」

「仕事をしていた頃は、複数の銀行を使っていたようです。」

「土地も、実家以外に持っているかもしれません。」

「何から調べればいいのでしょうか?」

このようなケースは、決して珍しくありません。

相続財産の調査では、思いついた財産だけを調べるのではなく、一定の順番で確認することが重要です。

相続財産とは何かを最初に整理する

相続財産というと、預金や自宅だけを思い浮かべる人が多いと思います。

しかし、実際には相続の対象になるものは幅広くあります。

主な財産 確認するもの
預貯金 通帳・キャッシュカード・銀行からの郵便物
不動産 固定資産税通知書・登記情報
株式・投資信託 証券会社からの郵便物・取引報告書
生命保険 保険証券・保険会社からの書類
借金・債務 借用書・請求書・督促状

重要なのは、プラスの財産だけではないことです。

借金や未払い金などのマイナスの財産も、原則として相続の対象になります。

法テラスも、相続財産の調査では預金、不動産、有価証券だけでなく、債権や債務についても確認する必要があると案内しています。

相続財産の調査方法① 預金を調べる

最初に確認しやすいのが預貯金です。

通帳とキャッシュカードを探す

まず、自宅の中にある次のものを確認します。

  • 預金通帳
  • キャッシュカード
  • 銀行から届いた郵便物
  • 定期預金の証書
  • スマートフォンの銀行アプリ
  • パソコンに保存されたメール

通帳が見つかった場合でも、それだけで調査を終わらせない方が安全です。

同じ銀行に複数の口座を持っていることもあります。
また、現在ではネット銀行を利用している人も増えています。

ネット銀行の場合は、紙の通帳がないため見落としやすい財産です。

心当たりのある金融機関に問い合わせる

被相続人が利用していた可能性のある金融機関が分かれば、相続人として必要書類を準備し、照会します。

金融機関によって必要書類や手続きが異なるため、事前に確認してください。

一般的には、亡くなった人との関係や相続人であることを確認する書類が必要になります。

相続財産の調査方法では、通帳だけを見て終わらせないことが重要です。

相続財産の調査方法② 不動産を調べる

不動産は、預金以上に見落としが起きやすい財産です。

特に、亡くなった人が昔から住んでいた地域以外に土地を持っていた場合、家族が存在を知らないことがあります。

固定資産税の通知書を確認する

毎年届く固定資産税関係の書類は、不動産を調べる重要な手がかりになります。

土地や建物の所在地を確認してください。

法テラスも、不動産については固定資産税の納税証明書などを確認する方法を案内しています。

市区町村で確認する

不動産がある地域が分かっている場合は、市区町村の固定資産税関係の情報から確認できる場合があります。

ただし、確認できる範囲や必要書類は自治体によって異なります。

複数の自治体に不動産がある場合は、それぞれ確認が必要になることがあります。

法務局の情報を活用する

不動産の所在地が分かったら、登記事項証明書などで詳しい権利関係を確認します。

法務局が保有する登記情報は、登記情報提供サービスなどを通じて確認できる仕組みがあります。

不動産には、住宅ローンなどの抵当権が設定されている場合もあります。

そのため、「不動産がある」ことだけではなく、「どのような権利や負担が付いているのか」まで確認することが必要です。

 

相続財産の調査方法③ 株式や投資信託を調べる

株式や投資信託も、家族が知らないまま残されていることがあります。

まず確認したいのは、次のような書類です。

  • 証券会社から届いた郵便物
  • 取引報告書
  • 配当金関係の書類
  • 株主総会の案内
  • 証券会社のメール

通帳の入出金記録も重要な手がかりになります。

証券会社名らしい振込や配当金の記録があれば、その金融機関との取引を確認する必要があります。

株式は、証券会社によって管理されているケースと、別の方法で管理されているケースがあります。

分からない場合は、見つかった書類を整理してから専門家や関係機関に相談すると、調査が進めやすくなります。

 

忘れてはいけない「借金」の調査

相続では、預金や不動産だけを調べると危険です。

なぜなら、借金なども相続に関係するためです。

確認したいものには、次のようなものがあります。

  • 消費者金融からの郵便物
  • クレジットカードの利用明細
  • 借用書
  • ローンの返済予定表
  • 督促状や請求書

注意

借金がある可能性がある場合、相続放棄などの判断に関係することがあります。

相続開始を知った時からの期間が重要になる場合があるため、放置せず早めに確認してください。

「相続放棄の期限は3ヶ月!期限内にすべき手続きと流れ」

相続財産を調べるおすすめの順番

初めて相続手続きをする場合、何から始めるか迷うと思います。

次の順番で整理すると、比較的分かりやすく進められます。

① 自宅にある書類を探す

② 預金・金融機関を確認する

③ 不動産を確認する

④ 株式・投資信託・保険を確認する

⑤ 借金や未払い金を確認する

⑥ 財産目録として一覧にまとめる

財産目録を作ると相続手続きが進めやすい

調べた財産は、メモだけで終わらせず一覧にすることをおすすめします。

財産の種類 内容 確認状況
預金 ○○銀行 確認済み
不動産 自宅土地・建物 確認済み
株式 証券会社を確認中 調査中

財産目録を作ることで、相続人同士で情報を共有しやすくなります。

また、遺産分割協議を進める際にも、財産の全体像を確認しやすくなります。

「遺産分割協議書の作成方法と行政書士に依頼するメリット」

相続財産の調査で見落としやすいもの

特に注意したいのが、次のような財産です。

ネット銀行

紙の通帳がないため、スマートフォンやメールを確認する必要があります。

投資信託

銀行で購入している場合もあるため、証券会社だけを調べるのでは不十分な場合があります。

遠方の土地

実家の近く以外に所有している土地は、家族が知らないことがあります。

借金や保証債務

プラスの財産だけを調べると、後から問題になることがあります。

相続財産の調査方法で最も重要なのは、「知っている財産だけを確認して終わりにしないこと」です。

行政書士など専門家に相談した方がよいケース

次のような場合は、自分だけで調査を進めるより、専門家への相談を検討した方がよいでしょう。

  • 財産がどこにあるのか全く分からない
  • 不動産が複数ある
  • 相続人が多い
  • 相続人同士の関係が良くない
  • 借金がある可能性がある
  • 遺産分割協議書を作成する必要がある

ただし、手続きの内容によっては行政書士だけでは対応できない業務もあります。

不動産の相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士、争いがある場合は弁護士など、内容に応じて専門家を選ぶ必要があります。

著者の一言

相続というと、まず遺産分割や相続税を考える人が多いと思います。

しかし、その前に必要なのが「何を相続するのかを正確に調べること」です。

今回、相続財産の調査方法を調べて改めて感じたのは、財産の種類が思っている以上に多いことでした。

預金、不動産、株式だけではありません。

ネット銀行、保険、借金など、見落としやすいものもあります。

一度に全部を調べようとせず、書類を一つずつ確認し、一覧にまとめていくことが大切です。

まとめ|相続財産の調査は「見落とさないこと」が重要

相続財産の調査方法について、重要なポイントを整理します。

  • 預金は通帳だけでなく、金融機関からの郵便物も確認する
  • 不動産は固定資産税関係の書類や登記情報を確認する
  • 株式や投資信託は証券会社からの書類を探す
  • ネット銀行など通帳がない財産にも注意する
  • 借金などのマイナス財産も調査する
  • 確認した財産は一覧表にまとめる

相続財産の調査方法を知っておくことで、相続手続きを進める前の不安を減らすことができます。

分からない財産がある場合は、放置せず、一つずつ確認していくことが大切です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回予告

次回は、「代襲相続とは?孫が相続する条件と注意すべきポイント」について解説します。

親より先に子どもが亡くなっている場合、孫が相続人になることがあります。

どのような場合に代襲相続が起きるのか、分かりやすく整理します。