永住申請20万円時代へ!外国人の「日本離れ」は始まるのか?在留手数料大幅値上げのメリットと日本の課題

入国管理

2026年10月、日本の外国人受け入れ政策は大きな転換点を迎えようとしています。

政府は、外国人の在留資格更新や永住許可にかかる手数料を大幅に引き上げる方針を発表しました。

特に永住許可申請の手数料は、現在の1万円から20万円へと20倍に跳ね上がります。
これは外国人政策としては極めて異例の改定です。

果たして、この政策は日本にとってプラスなのでしょうか。それともマイナスなのでしょうか。

今回は、国際的な視点から、この政策のメリット、デメリット、そして日本が今後直面する課題について考えてみます。


  1. 何が変わるのか?改定内容を分かりやすく整理
    1. 主な変更点
    2. 政府が値上げを行う理由
    3. この政策のメリット
      1. ① 行政コストを適正化できる
      2. ② 永住申請のハードルが上がる
      3. ③ デジタル化が進む可能性
    4. この政策のデメリット
      1. ① 優秀な外国人材が日本を敬遠する恐れ
      2. ② 人手不足がさらに深刻化する
      3. ③ 家族単位では大きな負担になる
    5. 日本が抱える最大の矛盾
    6. 今後の日本の課題
      1. ① 本当に必要な人材を明確にすること
      2. ② 家族への配慮
      3. ③ 費用負担の透明性
      4. まとめ
  2. G7各国と比較すると、日本の20万円は突出して高いのか?
    1. G7主要国の永住権・永住資格取得費用の目安
    2. 「20万円」という数字だけを見ると、アメリカ並み
    3. 日本は「高コスト・低賃金」の問題を抱える
      1. 年収の比較イメージ
    4. ドイツやフランスとの違い
    5. イギリスは高額だが、日本とは事情が違う
    6. 日本にとって本当に深刻なのは「金額」よりメッセージ性
      1. カナダ
      2. ドイツ
      3. 日本
  3. 日本の今後の課題
    1. ① 必要人材には減免措置を設ける
    2. ② 家族への配慮
    3. ③ 「管理」と「人材確保」のバランス
      1. まとめ
  4. アジア圏で比較すると、日本の「永住20万円」は高いのか?
      1. アジア主要国との比較
      2. シンガポールとの違い
      3. 韓国との比較
      4. 台湾との比較
      5. タイは例外的に高額な国
    1. 日本がアジアで直面する競争相手
      1. 昔
      2. 現在
      3. 最も懸念されるのは「心理的な壁」
      4. シンガポール
      5. 「優秀な人材を歓迎する」
      6. 台湾
    2. 日本
  5. 日本にとって今後の課題
      1. まとめ

何が変わるのか?改定内容を分かりやすく整理

政府は2026年5月に成立した改正出入国管理・難民認定法に基づき、2026年10月1日の施行を目指しています。現在、パブリックコメント(意見公募)が行われています。

主な変更点

在留資格の更新・変更手数料

  • 現在:窓口申請 一律6,000円
  • 改定後
    • 在留期間3か月以下:1万円
    • 在留期間1年:3万3,000円
    • 在留期間3年以上5年未満:6万4,000円
    • 在留期間5年以上:7万5,000円

永住許可申請

  • 現在:1万円
  • 改定後:20万円

オンライン申請については3,000円~1万円程度の減額措置が設けられる予定です。また、生活困窮者などへの減額措置も検討されています。


政府が値上げを行う理由

政府は、在留外国人の増加に伴い、審査業務や管理体制の維持費用が急増していることを理由に挙げています。

出入国在留管理庁によれば、

  • 審査人員の増強
  • システム整備
  • 不法滞在対策
  • 各種行政サービスの充実

などに多額の費用がかかっていると説明しています。

簡単に言えば、
「利用者にも相応の負担をお願いしたい」
という考え方です。


この政策のメリット

① 行政コストを適正化できる

外国人の在留者数は年々増加しています。

在留資格の審査には、

  • 税金の納付状況
  • 年金の支払い
  • 犯罪歴の有無
  • 雇用実態

など、多くの確認作業が必要になります。

これらの費用をすべて日本国民の税金だけで負担することについては、公平性の観点から疑問を持つ人も少なくありません。

受益者にも一定の負担を求めるという考え方には、一定の合理性があります。


② 永住申請のハードルが上がる

永住権は、一度取得すると在留期限の更新が不要になります。

つまり、日本で最も安定した在留資格の一つです。

20万円という費用は決して安くありません。

そのため、
「とりあえず取得しておこう」
という軽い動機による申請は減少する可能性があります。

審査件数が減れば、本当に日本への定住を希望する人への審査を充実させる余地も生まれます。


③ デジタル化が進む可能性

オンライン申請では手数料が安く設定されます。

これは行政側としても、

  • 窓口業務の削減
  • ペーパーレス化
  • 審査の効率化

を進めたい狙いがあると考えられます。

日本行政のデジタル化を後押しする側面もあるでしょう。


この政策のデメリット

しかし、問題は決して小さくありません。


① 優秀な外国人材が日本を敬遠する恐れ

世界では今、高度人材の獲得競争が激しくなっています。

例えば、

  • カナダ
  • オーストラリア
  • ドイツ

などは、積極的に外国人材を受け入れています。

もし日本で働くために、

  • 更新のたびに数万円
  • 永住申請で20万円

という負担が発生するなら、

「それなら他国へ行こう」

と考える人が増えても不思議ではありません。


② 人手不足がさらに深刻化する

現在、日本では、

  • 介護
  • 建設
  • 農業
  • 外食
  • 物流

などで深刻な人手不足が続いています。

例えば介護施設では、日本人だけでは人材確保が難しく、外国人介護士に依存するケースが増えています。

もし日本で働くコストが上がれば、これらの業界はさらに採用難に直面する可能性があります。

結果として、

  • サービス低下
  • 施設閉鎖
  • 地方経済の衰退

につながる恐れもあります。


③ 家族単位では大きな負担になる

例えば、
夫婦と子ども2人の4人家族を考えてみましょう。

仮に在留更新で1人あたり3万3,000円の手数料が必要になれば、
3万3,000円 × 4人 = 13万2,000円
となります。

これは決して小さな負担ではありません。

日本で子育てをしながら長期的に暮らしたい家族にとって、大きな障壁になる可能性があります。


日本が抱える最大の矛盾

ここで日本が直面する最大の問題があります。

それは、
「外国人に頼らなければ経済が回らないのに、外国人を受け入れるコストは上げている」
という矛盾です。

日本は少子高齢化が急速に進んでいます。

総務省の推計では、今後も生産年齢人口は減少していく見通しです。

つまり、

働く人が減る
↓
税収が減る
↓
社会保障費が増える
↓
外国人労働力への依存が高まる

という流れは避けられません。

その一方で、日本で暮らし続けるためのコストを大幅に引き上げれば、人材確保との整合性が取れなくなる可能性があります。


今後の日本の課題

① 本当に必要な人材を明確にすること

高度IT人材なのか。

介護人材なのか。

研究者なのか。

すべてを同じ手数料体系にするのではなく、日本が必要とする人材については優遇措置を検討する余地があります。

② 家族への配慮

外国人労働者本人だけでなく、家族も地域社会の一員になります。

子どもは学校へ通い、日本社会に溶け込んでいきます。

家族単位で過度な負担になれば、日本への定住そのものを断念するケースが増える可能性があります。


③ 費用負担の透明性

20万円という金額に対し、「なぜそこまで必要なのか」という説明が十分に行われなければ、

単なる値上げ政策として受け止められる恐れがあります。

国民にも外国人にも納得感のある説明が求められます。


まとめ

今回の手数料引き上げは、行政コストを適正化するという意味では一定の合理性があります。

しかし、永住許可20万円という水準は極めてインパクトが大きく、日本が必要としている外国人材まで遠ざけてしまうリスクを抱えています。

これからの日本は、
「管理を強化する国」になるのか。

それとも、
「必要な人材を選びながら共生する国」になるのか。

2026年10月から始まるこの制度改正は、日本の外国人政策の方向性を占う大きな試金石になるかもしれません。

 

G7各国と比較すると、日本の20万円は突出して高いのか?

結論から言えば、永住許可の申請手数料20万円は、G7の中でも極めて高い水準になる可能性があります。

もちろん、各国で制度の仕組みが異なるため単純比較はできません。しかし、主要国の永住権取得費用と比べると、日本の引き上げ幅はかなりインパクトがあります。


G7主要国の永住権・永住資格取得費用の目安

国 永住権取得費用(概算) 備考
🇯🇵 日本 20万円(予定) 現行1万円から20倍
🇨🇦 カナダ 約17万~18万円 永住権カード発行費含む
🇺🇸 アメリカ 約20万~25万円 グリーンカード申請費用
🇬🇧 イギリス 約55万~60万円 永住資格取得費用が非常に高額
🇩🇪 ドイツ 約1万~3万円 行政手数料中心
🇫🇷 フランス 約4万~5万円 印紙代が中心
🇮🇹 イタリア 約2万~3万円 更新費用も比較的低い

※為替レートにより変動します。


「20万円」という数字だけを見ると、アメリカ並み

日本政府の説明では、
「実費に応じた適正な負担」としています。

しかし、国際的に見ると少し違った見方もできます。

例えばアメリカ。
アメリカの永住権(グリーンカード)は高額ですが、その代わり、

  • 世界最大の経済規模
  • 高所得の可能性
  • 起業機会の多さ
  • 高い給与水準

などの魅力があります。

つまり、
「高い費用を払ってでも行きたい国」

という側面があります。


日本は「高コスト・低賃金」の問題を抱える

ここが今回の制度で最も議論になる部分です。

例えばITエンジニアの場合。

年収の比較イメージ

  • アメリカ:約2,000万円以上
  • カナダ:約1,000万円前後
  • ドイツ:約900万円前後
  • 日本:約600万円前後

もちろん職種や地域によりますが、全体として日本の賃金は先進国の中では伸び悩んでいます。

そこへ、

  • 在留更新の高額化
  • 永住申請20万円

が加わると、

外国人から見ると、
「給与は低いのに、行政コストは高い国」
という印象になりかねません。


ドイツやフランスとの違い

ドイツやフランスも移民政策には厳格な面があります。

しかし、
「必要な人材は積極的に受け入れる」
という考え方が比較的明確です。

例えばドイツでは、

  • エンジニア
  • 医療従事者
  • IT人材

などについては受け入れ制度を整備しています。

永住権取得の費用自体は比較的低く設定されており、

「人材確保を優先する政策」が見て取れます。


イギリスは高額だが、日本とは事情が違う

「イギリスのほうが高いじゃないか」
という意見もあるでしょう。

確かにイギリスの永住資格取得費用はG7でも突出しています。

しかしイギリスの場合は、

  • ロンドンという世界金融都市
  • 英語圏の強み
  • 高所得職種の多さ
  • 世界的人材の流入基盤

があります。

つまり、
高い費用を払っても、それを回収できる期待値が高い
という特徴があります。

一方、日本は、

  • 円安
  • 賃金の伸び悩み
  • 社会保険料負担の増加

という状況にあります。

ここがイギリスとの大きな違いです。


日本にとって本当に深刻なのは「金額」よりメッセージ性

実は20万円そのものよりも、

外国人が感じるメッセージのほうが大きいかもしれません。

例えば、

カナダ

「優秀な人材に来てほしい」

ドイツ

「人手不足を補うため積極的に受け入れたい」

日本

「負担は大きくなるが来てください」
これでは、世界の人材獲得競争では不利になりかねません。


日本の今後の課題

① 必要人材には減免措置を設ける

例えば、

  • IT人材
  • 半導体技術者
  • 介護人材
  • 研究者

などについては、

永住申請費用を軽減する制度も検討余地があります。


② 家族への配慮

高度人材は家族と一緒に移住先を決めます。

本人だけでなく、

  • 子どもの教育
  • 医療
  • 居住コスト

まで含めて比較します。

家族の負担が重くなると、日本は選ばれにくくなります。


③ 「管理」と「人材確保」のバランス

今後の日本では、
不法滞在や制度悪用への対策は必要です。

しかし同時に、
日本経済を支える外国人材をどう確保するのか
という視点も欠かせません。


まとめ

G7で比較すると、日本の20万円はアメリカ並みの高額水準であり、ドイツやフランスを大きく上回ります。

しかし、日本の賃金水準や国際競争力を考えると、

「アメリカ並みの費用を求めながら、得られる経済的メリットはアメリカ並みではない」

という点に、日本の難しさがあります。

少子高齢化が進み、人手不足が深刻化する日本にとって、今回の制度改正は単なる手数料の値上げではありません。

「日本はこれから、外国人に選ばれる国であり続けられるのか。」

この問いが、私たちに突き付けられているのではないでしょうか。

アジア圏で比較すると、日本の「永住20万円」は高いのか?

結論から言えば、アジア主要国と比較しても、日本の永住申請手数料20万円はかなり高い部類に入ります。

ただし、G7の比較と同様に、単純な金額比較だけでは見えてこない部分があります。

各国はそれぞれ、

  • 外国人に何を求めているのか
  • 永住権をどれだけ取得しやすくするのか
  • 優秀な人材をどの程度呼び込みたいのか

という国家戦略が異なるからです。

アジア主要国との比較

国・地域 永住資格取得費用(概算) 特徴
🇯🇵 日本 20万円(予定) 現行1万円から20倍
🇸🇬 シンガポール 約1万~2万円 審査は厳格だが費用は低い
🇰🇷 韓国 数千円~数万円程度 条件を満たせば比較的安価
🇹🇼 台湾 数万円程度 高度人材誘致を重視
🇲🇾 マレーシア 数万円程度 長期滞在制度が充実
🇹🇭 タイ 約10万~20万円程度 永住枠が少なく取得難易度が高い
🇭🇰 香港 数千円~数万円程度 永住資格そのものの手数料は低い

※為替レートや制度変更により変動します。


シンガポールとの違い

シンガポールは人口約600万人の小国ですが、世界中から優秀な人材を集めています。

例えば、

  • ITエンジニア
  • 金融専門職
  • AI研究者
  • 起業家

などを積極的に受け入れています。

永住権の審査は厳しいものの、手数料自体は比較的低く抑えられています。

つまり、
「お金で門を閉ざす」のではなく、「審査で選別する」
という考え方です。


韓国との比較

韓国も少子高齢化が進んでおり、日本と似た課題を抱えています。

しかし、

  • 高度人材
  • 投資家
  • 韓国系外国人

などの受け入れ制度を整備し、人材確保を進めています。

永住資格の申請費用も日本の20万円には遠く及びません。


台湾との比較

台湾は近年、

  • 半導体
  • AI
  • デジタル産業

を国家戦略として推進しています。

そのため、
外国人高度人材向けの制度整備に積極的です。

行政手数料も比較的低く、
「まず来てもらう」
という発想が強く見られます。


タイは例外的に高額な国

アジアの中では、タイの永住資格取得費用は比較的高額です。

しかしタイには、

  • 永住許可枠が少ない
  • 審査が厳しい
  • 外国人の土地所有などを制限している

という事情があります。

つまり、
高額な費用で外国人を積極的に呼び込む政策ではない
という点で、日本と似た側面があります。


日本がアジアで直面する競争相手

20年前なら、
「日本で働きたい」
という外国人は非常に多くいました。

しかし現在は状況が変わっています。

例えばITエンジニアで考えると、

昔

日本 > 韓国 > 台湾 > 東南アジア

現在

シンガポール > 日本 ≒ 韓国 ≒ 台湾

という評価をする外国人も増えています。

特に、

  • 給与水準
  • キャリア形成
  • 英語環境
  • 行政の利便性

では、日本の優位性が以前ほど大きくありません。


最も懸念されるのは「心理的な壁」

例えば20万円を支払える高度人材は少なくないでしょう。

しかし問題は、
「なぜそこまで高い費用を払わなければならないのか」
という心理です。

外国人から見ると、

シンガポール

「優秀な人材を歓迎する」

台湾

「一緒に成長してほしい」

日本

「制度利用の負担を大きくします」

このメッセージの違いは、意外と大きいのです。


日本にとって今後の課題

少子高齢化が進む日本では、2040年頃にかけて働き手不足がさらに深刻になると予測されています。

介護、建設、物流、ITなどの分野では、外国人材なしでは社会が回らなくなる可能性もあります。

だからこそ、
「管理強化」と「人材確保」をどう両立するのか
が最大の課題になります。

単に手数料を引き上げるだけでは、

  • 優秀な人材が他国へ流れる
  • 家族単位の定住が減る
  • 日本の国際競争力が低下する

という副作用も生まれかねません。


まとめ

アジア主要国と比較すると、日本の永住申請手数料20万円はかなり高い水準になります。

しかも現在の日本は、かつてのような「圧倒的な高所得国」ではありません。

だからこそ今回の制度改正は、
「日本に来てもらうための政策」と「日本を守るための政策」を、どう両立させるのか。

その国家戦略そのものが問われていると言えるでしょう。