民泊申請で行政書士に依頼するメリット|費用相場と代行業務の内容

民泊

「民泊を始めたい。でも、申請が難しそう……」

民泊を始めようと思ったとき、最初に悩むのが「自分で手続きできるのか」という問題です。
住宅宿泊事業を始めるには、住宅宿泊事業法に基づく届出が必要です。

しかも、届出書を書くだけで終わるわけではありません。
住宅の要件、管理規約、消防関係、賃貸借契約、管理業務など、確認することが複数あります。

そこで選択肢になるのが、行政書士への依頼です。

行政書士に依頼するメリットは、単に「書類を書いてもらうこと」ではありません。
自分の物件で民泊を始められるのかを確認し、必要書類を整理し、届出までの作業を進めてもらえる点にあります。

この記事では、民泊申請を行政書士に依頼するメリット、代行してもらえる業務、費用を考えるときのポイントをわかりやすく解説します。

相談内容:民泊の申請を行政書士に頼んだほうがいい?

相談者:
「所有しているマンションの一室で民泊を始めたいと思っています。自分で申請することもできるのでしょうか?」

行政書士:
「住宅宿泊事業として始めるのであれば、住宅宿泊事業法に基づく届出が必要です。まず、そのマンションで民泊ができるのかを確認しましょう。」

相談者:
「管理規約は確認しました。でも、それ以外にも何か必要ですか?」

行政書士:
「消防関係や住宅の要件、必要書類なども確認する必要があります。家主が不在になる場合などは、住宅宿泊管理業者への委託が必要になるケースもあります。」

相談者:
「それなら、行政書士にまとめてお願いしたほうが安心ですね。費用はどのくらいかかりますか?」

行政書士:
「報酬は行政書士によって異なります。手続きの内容や物件の状況によっても変わるため、見積もりを取って比較することが大切です。」

民泊申請は「届出書を書くだけ」ではありません

住宅宿泊事業を始める場合、住宅の所在地を管轄する都道府県知事等への届出が必要です。
原則として、民泊制度運営システムを利用して手続きを行います。

届出では、氏名や住所だけではなく、住宅の所在地、住宅の規模、住宅の種類、管理業者に関する事項なども確認します。

さらに、届出前には次のような点を確認する必要があります。

  • その住宅が住宅宿泊事業の対象になるか
  • 賃貸物件なら転貸について承諾を得ているか
  • マンションの管理規約で民泊が禁止されていないか
  • 管理組合に禁止する方針がないか
  • 消防関係の対応が必要か
  • 管理業務の委託が必要か
  • 必要な添付書類がそろっているか

つまり、「届出書を作成する作業」と「民泊を適法に始められるかを確認する作業」は別です。

行政書士に依頼する主なメリット

1.必要書類を整理してもらえる

住宅宿泊事業の届出では、住宅の登記事項証明書、住宅の図面、賃貸人の承諾書類、マンションの管理規約など、状況に応じて複数の書類が必要になります。

特にマンションの場合は、管理規約だけを見て「民泊禁止の記載がないから大丈夫」と判断するのは危険です。

観光庁の案内でも、管理規約に住宅宿泊事業についての定めがない場合には、管理組合に禁止する意思がないことを確認するための書類などが必要になる場合が示されています。

行政書士に依頼すれば、必要書類を確認しながら準備を進められます。

2.届出書の作成を任せられる

民泊の届出では、住宅の所在地や規模だけでなく、管理業者に関する事項なども記載します。

自分で手続きをする場合は、制度を調べながら一つずつ入力することになります。

行政書士へ依頼すれば、依頼内容の範囲内で書類作成や手続きをサポートしてもらえます。

「書類の書き方がわからない」という不安を減らせることが大きなメリットです。

3.物件の問題点を早い段階で確認できる

民泊を始めようとしてから「この物件では難しい」と分かると、時間も費用も無駄になる可能性があります。

そのため、行政書士へ依頼する場合でも、最初から届出書の作成だけを依頼するのではなく、まず物件について相談することが重要です。

マンションなら管理規約、賃貸物件なら賃貸借契約、消防関係などを事前に確認します。

4.複数の行政手続きを整理しやすい

民泊では、住宅宿泊事業法だけを見ればよいとは限りません。

消防、建築、自治体の条例など、物件や地域によって確認すべき事項があります。

また、住宅宿泊事業法では年間の提供日数が180日以内とされています。自治体の条例によって、さらに営業できる期間などが制限される場合があります。

そのため、「民泊の届出を出せば必ず営業できる」と考えないことが重要です。

行政書士には何を代行してもらえる?

行政書士への依頼内容は、事務所によって異なります。
一般的には、次のような業務が考えられます。

業務 内容
事前相談 物件や計画を確認し、必要な手続きを整理
必要書類の確認 登記、図面、規約など必要書類を確認
届出書類の作成 住宅宿泊事業の届出に必要な書類を作成
関係機関との確認 必要に応じて関係機関への確認をサポート
届出手続き 依頼内容に応じて届出手続きを支援
管理業者等の確認 必要に応じて管理業務の委託などを整理

ただし、行政書士なら何でも代行できるわけではありません。
また、消防設備工事や建築工事など、別の専門業者が担当する業務もあります。

依頼するときは、「どこまでが行政書士の業務なのか」を見積書で確認しましょう。

行政書士に依頼した場合の費用相場は?

ここは注意が必要です。

民泊申請について全国一律の行政書士報酬額が決まっているわけではありません。

日本行政書士会連合会も、行政書士の報酬額は各行政書士が自由に定めていると案内しています。さらに、同じ業務でも具体的な取扱内容などによって報酬額には大きな差が生じるとしています。

そのため、「民泊申請は必ず○万円」と一律に考えるのは適切ではありません。

費用が変わる主な理由

  • 住宅の種類
  • マンションか戸建てか
  • 賃貸物件か所有物件か
  • 管理規約の確認が必要か
  • 消防関係の確認が必要か
  • 管理業者への委託が必要か
  • 自治体独自の条例があるか
  • 書類収集まで依頼するか
  • 行政書士にどこまで任せるか

つまり、安いか高いかだけで比較するのではなく、「その報酬で何をしてくれるのか」を見る必要があります。

「自分で申請」と「行政書士に依頼」の違い

比較項目 自分で申請 行政書士へ依頼
費用 行政書士報酬を抑えられる 報酬が必要
制度の確認 自分で調べる 相談できる
書類作成 自分で作成 依頼範囲に応じて任せられる
時間 調査時間が必要 負担を減らせる
安心感 自分で確認する必要がある 専門家へ相談できる

自分で申請することが悪いわけではありません。

制度を調べることが苦にならず、必要書類を自分で集められる人なら、自分で手続きを進める方法もあります。

一方で、仕事をしながら準備する人や、初めて許認可関係の手続きをする人は、行政書士への依頼によって時間的な負担を減らせる可能性があります。

依頼する前に必ず確認したい5つのポイント

① どこまでが報酬に含まれるか

「民泊申請一式」と書かれていても、その内容は事務所によって違います。

相談、書類作成、書類収集、消防関係の確認、届出まで含まれるのかを確認しましょう。

② 別途費用はいくらか

行政書士報酬以外にも、証明書の取得費用などが発生する場合があります。

見積書で「行政書士報酬」と「実費」を分けて確認するとわかりやすくなります。

③ 民泊が可能かどうかを事前確認してくれるか

これは非常に重要です。

届出書を作成するだけでなく、管理規約、賃貸借契約、自治体のルールなどを事前に確認してもらえるかを聞きましょう。

④ 消防・建築関係は誰が確認するのか

民泊では消防や建築関係の確認が必要になる場合があります。

行政書士が対応する範囲と、消防設備業者や建築士など別の専門家が対応する範囲を明確にしておくことが大切です。

⑤ 申請後のサポートがあるか

届出が終わった後も、民泊事業者には衛生管理、安全確保、宿泊者名簿など、一定の義務があります。

そのため、申請だけでなく、開業後の相談にも対応しているか確認しておくと安心です。

家主不在型の民泊は特に注意

民泊では、住宅宿泊事業者が宿泊中に不在になるかどうかも重要です。

観光庁によれば、原則として、届出住宅の居室数が5を超える場合や、宿泊者がいる間に住宅宿泊事業者が不在となる場合などには、住宅宿泊管理業者への委託が必要です。

住宅宿泊管理業者は、国土交通大臣の登録を受けた事業者です。登録には有効期間があり、更新も必要です。

したがって、家主不在型を考えている場合は、単純に「届出だけ行政書士へ依頼すれば終わり」と考えないことが大切です。

民泊開業前の確認順序

① 物件が民泊可能か確認

② 管理規約・賃貸借契約を確認

③ 自治体の条例を確認

④ 消防・安全面を確認

⑤ 管理業務の必要性を確認

⑥ 必要書類を準備

⑦ 住宅宿泊事業の届出

行政書士に依頼する価値は「書類作成」だけではない

民泊申請を行政書士に依頼すると、当然ながら行政書士報酬が発生します。

そのため、「自分でできるのに依頼する必要があるのか」と考える人もいるでしょう。

私は、ここでは「自分の時間と手間をどこまで減らしたいか」で判断するのが現実的だと考えます。

民泊は、届出書を書けば終わる手続きではありません。

物件、管理規約、賃貸借契約、消防、自治体の条例、管理体制など、確認事項があります。

行政書士に依頼する最大のメリットは、こうした確認事項を整理し、必要な手続きを前に進めやすくすることです。

ただし、行政書士へ依頼したからといって、必ず民泊ができるわけではありません。

「まず民泊が可能な物件なのかを確認する」ことが最優先です。

当職へご相談時にご準備しておいて頂きたいもの

最初の相談をスムーズにするため、次の資料を準備しておくとよいでしょう。

  • 物件の住所
  • 登記事項証明書など物件が確認できる資料
  • マンションの管理規約
  • 賃貸物件なら賃貸借契約書
  • 物件の間取り図
  • 民泊を予定している部屋の情報
  • 家主居住型か家主不在型か
  • 想定している営業方法

特にマンションの場合は、管理規約を最初に確認することをおすすめします。

観光庁も、マンションで住宅宿泊事業を行う場合には、管理規約で禁止されていないか、さらに管理組合に禁止する方針がないか確認するよう案内しています。

公的情報を確認してから相談しましょう

民泊制度については、観光庁の「民泊制度ポータルサイト」で最新情報を確認できます。

観光庁「民泊制度ポータルサイト minpaku」

住宅宿泊事業者の届出については、こちらも参考になります。

観光庁「住宅宿泊事業者の届出に必要な情報、手続きについて」

また、住宅宿泊事業者には、宿泊者の衛生・安全確保などの義務があります。

観光庁「住宅宿泊事業者編」

行政書士へ相談する場合でも、こうした公的情報を確認しておくと、自分が何を質問したいのか整理しやすくなります。


著者の一言

今回調べていて感じたのは、民泊の手続きで大切なのは「届出書を書くこと」だけではないということです。
むしろ重要なのは、「その物件で本当に民泊を始められるのかを、事前に確認すること」です。

行政書士へ依頼する場合も、単純に一番安い事務所を選ぶのではなく、どこまで確認してくれるのかを比較してください。

報酬額は事務所ごとに異なります。
だからこそ、金額だけでなく「何をしてくれるのか」を確認することが大切です。

当おおまえ事務所は、詳細情報をお聞きしたうえでリーズナブルな費用のご提案をさせていただきます。

次回予告

次回は、相談案件No.105「家主居住型と家主不在型の違い|民泊事業者が知るべき要件と注意点」を取り上げます。

同じ民泊でも、家主が住みながら運営する場合と、家主が不在になる場合では、管理体制や必要な対応が変わります。

「自分の場合はどちらになるのか?」を、次回の記事で詳しく整理します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


参照内部リンク:

マンションでの民泊運営は可能?管理規約の確認と変更のポイント

参照外部リンク:

観光庁「民泊制度ポータルサイト」
観光庁「住宅宿泊事業者の届出に必要な情報、手続きについて」
日本行政書士会連合会「報酬額の統計」