産業廃棄物処理場のサポート

行政書士がサポートする産業廃棄物処理場の開設手続

産業廃棄物処理場の設置には、多岐にわたる法令に基づいた許可申請が必要です。主要なものとして「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」が挙げられますが、その他にも関連する多くの法律や条例を考慮する必要があります。

産業廃棄物処理場申請に必要な主な条文(法令)

産業廃棄物処理場の設置許可に関して、特に重要な条文は以下の通りです。

  1. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

    第15条(産業廃棄物処理施設): 産業廃棄物処理施設を設置しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないと定めています。これが産業廃棄物処理場設置許可の根幹となる条文です。

    • 廃棄物処理法施行令第7条: 廃棄物処理法第15条でいう「政令で定める処理施設」の種類と規模が具体的に定められています。例えば、汚泥の脱水施設(10m³/日を超えるもの)、廃プラスチック類の破砕施設(5t/日を超えるもの)、産業廃棄物の最終処分場(すべて)などがこれに該当します。
    • 廃棄物処理法施行規則第11条: 産業廃棄物処理施設の設置許可申請に関する具体的な手続きや添付書類について規定しています。これには、申請書の様式、事業計画の概要、施設の構造・設備の概要、資金計画、技術管理者の配置などが含まれます。
    • 第15条の2(許可の基準等): 許可の基準(施設の構造・設備が技術上の基準に適合しているか、周辺環境への影響がないか、事業を的確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があるか等)が定められています。
    • 第21条(技術管理者の設置): 設置許可対象施設には、技術管理者を置くことが義務付けられています。
  2. 建築基準法

    • 第51条ただし書き: 産業廃棄物処理施設は、その性質上、周辺の生活環境に影響を及ぼす可能性があるため、用途地域によっては、建築基準法第51条ただし書きに基づく許可が必要となる場合があります。これは、都市計画審議会での審議や生活環境影響調査(環境アセスメント)などを経て許可されるもので、手続きが長くかかる傾向があります。
  3. その他関連法令

    • 都市計画法: 施設を設置する場所の都市計画(用途地域など)によっては、設置が制限される場合があります。
    • 土壌汚染対策法: 施設の設置場所が土壌汚染の可能性がある場合、調査や対策が必要となることがあります。
    • 水質汚濁防止法、大気汚染防止法: 処理施設からの排出水や排ガスに関して、それぞれの法律で定められた基準を遵守する必要があります。
    • 各自治体の条例: 都道府県や市町村が独自に定めている条例(環境保全条例、紛争予防条例など)にも従う必要があります。これらは、事前協議や地域住民への説明会の開催などを義務付けている場合があります。

解説図(申請に必要な書類・情報の一例)

産業廃棄物処理場の申請には、非常に多くの書類と図面が必要です。一般的な申請の流れと、その中で必要となる図面・情報のイメージを図として示します。

【産業廃棄物処理施設設置許可申請の基本的な流れと必要書類(イメージ)】

    A[計画・事前調査] --> B{対象施設の確認};
    B --> C{関連法令・条例の確認};
    C --> D[生活環境影響調査・事前協議];
    D -- (調査書, 協議記録) --> E[許可申請書の作成];
    E -- (申請書, 添付書類, 各種図面) --> F[都道府県知事へ提出];
    F --> G[審査・現地調査];
    G --> H[許可];
    H --> I[施設設置工事・使用前検査];
    I --> J[施設使用開始];

    subgraph 必要書類・図面(一部)
        E --- K[事業計画の概要 (処理フロー図含む)];
        E --- L[処理施設の構造・設備図面];
        E --- M[施設の配置図・平面図];
        E --- N[保管場所の概要図];
        E --- O[敷地周辺の地図・地番図];
        E --- P[生活環境影響調査書];
        E --- Q[資金計画書];
        E --- R[技術管理者の資格・経歴書];
        E --- S[法人登記事項証明書・役員等住民票];
        E --- T[委託契約書(案)];
    end

    subgraph 処理施設に関する図面例
        L --- L1[処理工程図];
        L --- L2[各処理設備の詳細図(寸法入り)];
        M --- M1[敷地全体図(建屋配置、車両動線、排水経路など)];
        M --- M2[各建屋の平面図、立面図、断面図];
        N --- N1[保管場所の平面図、保管上限量、積み上げ高さ];
    end

解説図に記載される情報(補足):

  • 処理工程図: 廃棄物が搬入されてから最終処分されるまでの、具体的な処理の流れ(破砕、焼却、選別、中間処理、最終処分など)を図示します。各工程での廃棄物の種類、量、発生する副産物なども示します。
  • 施設の構造・設備図面: 各処理設備の詳細な図面(平面図、立面図、断面図、構造図)と、その設備が技術上の基準を満たしていることを示す設計計算書などが必要です。特に、排ガス処理装置や排水処理設備などの環境対策設備については詳細な図面が求められます。
  • 施設の配置図・平面図: 敷地全体における各施設の配置、搬入路・搬出路、車両の動線、排水経路、緊急時の避難経路などを明示した図面です。縮尺や方位なども正確に記載します。
  • 保管場所の概要図: 産業廃棄物の種類ごとの保管場所、保管容量、積み上げることができる高さなどを明記した図面です。雨水対策や飛散防止対策などの措置も示します。
  • 敷地周辺の地図・地番図: 施設の周辺環境(住宅地、学校、病院、河川、農地など)との位置関係を示す地図や、敷地の地番がわかる図面が必要です。

注意点:

  • 産業廃棄物処理施設の設置許可は、非常に専門的で複雑な手続きです。
  • 都道府県や市町村によって、独自の指導要綱や条例、申請様式が異なる場合があります。
  • 事前に管轄の自治体の窓口に相談し、最新の情報や必要な書類を必ず確認することが重要です。
  • 行政書士や環境コンサルタントなどの専門家への相談も有効です。

行政書士が扱う産業廃棄物処理場の手続き

産業廃棄物処理業許可申請(新規・更新・変更)

産業廃棄物を収集・運搬・中間処理・最終処分するためには、都道府県知事または政令市長の許可が必要です。行政書士は以下の申請書類作成と提出代行を行います。

  • 産業廃棄物収集運搬業許可産業廃棄物処分業許可(中間処理・最終処分)
  • 変更届出・事業廃止届出
  • 許可更新手続き(5年ごと)

施設設置に関する手続き

産業廃棄物処理施設を新たに設置する場合、以下のような手続きが必要です。

    • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)に基づく手続き
    • 施設の構造・設備の基準に関する書類の作成
    • 土地の使用権原に関する確認(賃貸借契約書など)施設設置許可申請
    • 近隣住民への説明資料の作成
    • 公聴会や説明会開催の支援生活環境影響調査書の作成補助

事業計画書・収支計画書の作成

申請時に必要な経理的基礎や技術的能力の証明として、事業計画書や収支予測書の作成が求められます。行政書士はこれらの作成支援を行います。

地元住民や行政機関との調整支援

処理場の設置には地元住民の理解が不可欠です。行政書士は、説明資料の整備、説明会の準備、必要に応じて議事録の作成なども支援可能です。

 

関連法令に基づく手続き

以下のような関連法令に基づく手続きにも対応します:

  • 環境影響評価法(環境アセスメント)
  • 建築基準法(用途地域・建築許可)
  • 農地法(農地転用許可)
  • 都市計画法(開発許可)

 

■ 行政書士に依頼するメリット

  • 書類作成の正確性と迅速性
  • 行政窓口とのやり取りの代行
  • 法令に適合した施設計画のアドバイス
  • 不許可リスクの低減

 

■ まとめ

産業廃棄物処理場の手続きは複雑かつ専門的で、多くの関係法令にまたがっています。行政書士はこれらの手続きを一括してサポートし、事業者の負担を大幅に軽減します。

設置を検討されている場合や、すでに運営中で更新・変更がある場合も、行政書士への早期相談が推奨されます。